今回は東京科学大学(旧東工大)2026年度入試の物理第2問について、細かく解説していきます!問題は解説の都合上、部分的に掲載しておりますが、フルPDFが欲しい場合は大学のホームページや予備校のサイトから入手してください。
前提
[A] 操作(1)を行った後の電気振動
(a) コンデンサーの電気量とコイルに流れる電流の関係
電流は、単位時間あたりに通過する電気量!!ですが、向きには注意が必要です⚠️⚠️今回は、コンデンサーの電荷が減るときに電流は正になるため、
$$ \color{black}{I = – \frac{ \Delta Q}{ \Delta t} } $$
(b) 電位・電流・コンデンサーとコイルのエネルギーグラフ
まず、𝑡=0の定義に注意しましょう!操作(1)を行った直後です。𝑉𝑆=𝑉で初めて𝑉𝑆=0となるとき、コンデンサーの電荷𝑄=0、コイルに流れる電流𝐼>0となります。コイルに流れる電流が正のため、𝑡=0の直後は𝑉𝑆, 𝑄ともに負になります!
これに注意して電気振動を考えると、電位𝑉𝑆は原点を通りそこから負の値になる𝑡軸が振動の中心のため、②
電流は𝑡=0で正の値かつ𝑡軸が振動の中心のため、①
これら2つを三角関数を用いて表すと…
$$ \color{black}{V_S = -V_{S0} \sin \omega t} $$
$$ \color{black}{I = I_0 \cos \omega t} $$
これらをエネルギーの式に当てはめると、
$$ \color{black}{E_C = \frac{1}{2} CV_S^2 = \frac{1}{2} CV_{S0}^2 \sin ^2 \omega t = \frac{1}{4} CV_{S0}^2 (1 – \cos 2 \omega t) } $$
$$ \color{black}{E_L = \frac{1}{2} LI^2 = \frac{1}{2} LI_0^2 \cos ^2 \omega t = \frac{1}{4} LI_0^2 (1 + \cos 2 \omega t) } $$
$$ \color{black}{E_C:⑥、E_L:⑤} $$
【別解】電気振動の導出部分から式で解いていきましょう!キルヒホッフの第二法則と初期条件などを整理すると、
$$ \color{black}{V_S – L \frac{dI}{dt} = 0} $$
$$ \color{black}{t = 0:V_S = 0, Q = 0, I > 0} $$
$$ \color{black}{Q = CV_S} $$
ここで、(a)の結果も用いると、
$$ \color{black}{ \frac{Q}{C} = L \frac{d}{dt} \left (- \frac{dQ}{dt} \right ) } $$
$$ \color{black}{ \frac{d^2 Q}{dt^2} = – \frac{1}{LC} Q} $$
よって、角振動数𝜔とすると、
$$ \color{black}{ \omega = \frac{1}{ \sqrt{LC} } } $$
最後に初期条件を考慮すれば、
$$ \color{black}{Q = -Q_0 \sin \omega t} $$
$$ \color{black}{V_S = – \frac{Q_0}{C} \sin \omega t} $$
$$ \color{black}{I = \omega Q_0 \cos \omega t} $$
$$ \color{black}{ \therefore V_S:②、I :①} $$
※今回、グラフの概形を答える問題のため、振幅はテキトーに文字でおきました!
(c) 電流が0になる時刻
式で求めている場合は、以下を満たす最小の𝑡のため、
$$ \color{black}{ \cos \omega t = 0} $$
$$ \color{black}{ \therefore \omega t = \frac{ \pi }{2} \Leftrightarrow t = \frac{ \pi }{2 \omega } = \frac{ \pi }{2} \sqrt{LC} } $$
式で求めていなくても、グラフの概形から1/4周期ということがわかるため、周期𝑇とすると、
$$ \color{black}{T = 2 \pi \sqrt{LC} } $$
$$ \color{black}{ \therefore \frac{T}{4} = \frac{ \pi }{2} \sqrt{LC} } $$
[B] 電気振動中に操作(2)を実施したとき
(d) 電位の最大値と電気量が0となる時刻
操作(2)を行ったとき、電気振動としては電位𝑉𝑆は最大です!操作(2)をする間の電気量は不変で電気容量が変わることに注意しましょう。操作(2)を実施したときの電気容量𝐶𝑎、求める最大値𝑉0’として、電気容量の公式と電気量保存則より、
$$ \color{black}{C_a = \frac{1}{a} C} $$
$$ \color{black}{CV = C_a V_0′} $$
$$ \color{black}{ \therefore V_0′ = aV} $$
また、コンデンサーの電気量が0になるとき、電位𝑉𝑆も0になります!(b)のグラフの概形は変わらず、振幅のみが変わることに注意すると、電気量が0になる時刻は操作(2)を実施してから1/4周期ということがわかります。周期が𝐶に依存することに注意すると、
$$ \color{black}{\frac{1}{4} \cdot 2 \pi \sqrt{LC} + \frac{1}{4} \cdot 2 \pi \sqrt{LC_a} = \frac{ \pi }{2} \sqrt{LC} \left ( 1 + \frac{1}{ \sqrt{a} } \right ) } $$
[C] 電気振動中に操作(3)を実施したとき
(e) 電位と電圧の最大値
操作(3)を実施した時の電気容量を𝐶𝑏とすると、
$$ \color{black}{C_b = \frac{1}{b} C} $$
操作(3)を実施する前の電流の最大値𝐼0’は、操作(3)実施前のエネルギー保存則より、
$$ \color{black}{ \frac{1}{2} C_a V_0’^2 = \frac{1}{2} LI_0’^2} $$
操作(3)実施後の電流の最大値𝐼1は、操作(3)の前後でエネルギーは保存するため、
$$ \color{black}{ \frac{1}{2} LI_0’^2 = \frac{1}{2} LI_1^2} $$
操作(3)実施後の電位𝑉𝑆の最大値𝑉1は、操作(3)実施後のエネルギー保存則より、
$$ \color{black}{ \frac{1}{2} LI_1^2 = \frac{1}{2} C_b V_1^2} $$
すなわち、操作(3)の前後ではエネルギー保存則が成り立つため、以下の等式から整理すれば解けます!
$$ \color{black}{ \frac{1}{2} C_a V_0’^2 = \frac{1}{2} LI_0’^2 = \frac{1}{2} LI_1^2 = \frac{1}{2} C_b V_1^2} $$
$$ \color{black}{ \therefore I_1 = V \sqrt{ \frac{aC}{L} } , V_1 = V \sqrt{ab} } $$
ここまでの物理量の変化を表でまとめると、
$$ \color{black}{ \begin{array}{|c|c|c|c|c|c||} \hline
& |V_S| & |Q| & |I| & E_S & E_L \\ \hline
(1)後 & V & CV & 0 & \frac{1}{2} CV^2 & 0 \\ \hline
(2)前 & V & CV & 0 & \frac{1}{2} CV^2 & 0 \\ \hline
(2)後 & aV & CV & 0 & \frac{1}{2} aCV^2 & 0 \\ \hline
(3)前 & 0 & 0 & V \sqrt{ \frac{aC}{L} } & 0 & \frac{1}{2} aCV^2 \\ \hline
(3)後 & 0 & 0 & V \sqrt{ \frac{aC}{L} } & 0 & \frac{1}{2} aCV^2 \\ \hline
(2)前 & V \sqrt{ab} & CV \sqrt{ \frac{b}{a} } & 0 & \frac{1}{2} bCV^2 & 0 \\ \hline
\end{array} } $$
[D] 操作(2)と操作(3)を繰り返し行ったとき①
(f) 電位の最大値
図のように考えれば、(1)→(2)→(3)が最初の1回、(3)→(2)→(3)が𝑁-1回実施すると考えられる。以下の表のように文字を置いて、考えると漸化式を組み立てることができます!
| |𝑉𝑆| | |𝑄| | |𝐼| | |𝐸𝑆| | |𝐸𝐿| |
| (3)後 | 0 | 0 | 𝐼𝑁 | 0 | 𝐿𝐼𝑁2/2 |
| (2)前 | 𝑉𝑁 | 𝐶𝑏𝑉𝑁 | 0 | 𝐶𝑏𝑉𝑁2/2 | 0 |
| (2)後 | 𝑉𝑁’ | 𝐶𝑎𝑉𝑁’ | 0 | 𝐶𝑎𝑉𝑁’2/2 | 0 |
| (3)前 | 0 | 0 | 𝐼𝑁’ | 0 | 𝐿𝐼𝑁’2/2 |
| (3)後 | 0 | 0 | 𝐼𝑁+1 | 0 | 𝐿𝐼𝑁+12/2 |
| (2)前 | 𝑉𝑁+1 | 𝐶𝑏𝑉𝑁+1 | 0 | 𝐶𝑏𝑉𝑁+12/2 | 0 |
(e)と同様にエネルギー保存則を考えると、
$$ \color{black}{ \frac{1}{2} C_a V_N’^2 = \frac{1}{2} L I_N’^2 = \frac{1}{2} LI_{N+1}^2 = \frac{1}{2} C_b V_{N+1}^2} $$
$$ \color{black}{ \therefore V_{N+1} = V_N’ \sqrt{ \frac{C_a}{C_b} } = V_N’ \sqrt{ \frac{b}{a} } } $$
(d)と同様に電気料保存則を考えると、
$$ \color{black}{ C_b V_N = C_a V_N’} $$
$$ \color{black}{ \therefore V_N’ = \frac{C_b}{C_a} V_N = \frac{a}{b} V_N} $$
以上を整理すると、
$$ \color{black}{ V_{N+1} = \frac{a}{b} V_N \cdot \sqrt{ \frac{b}{a} } = V_N \sqrt{ \frac{a}{b} } } $$
(e)の結果を用いて、
$$ \color{black}{ V_1 = V \sqrt{ab} } $$
$$ \color{black}{ \therefore V_N = V_1 \left ( \sqrt{ \frac{a}{b} } \right ) ^{N-1} = V \sqrt{ \frac{a^{N}}{b^{N-2}} } } $$
最初の操作(2)(3)は別で考えるという部分に注意!!⚠️⚠️(コンデンサーの電気容量が異なり、初期条件が違うため)
この最大値が𝑉を超える時、
$$ \color{black}{ \sqrt{ \frac{a^{N}}{b^{N-2}} } > 1} $$
$$ \color{black}{ \therefore a^N > b^{N-2} } $$
(g) エネルギーの変化量
$$ \color{black}{t=0でのエネルギー量: \frac{1}{2} CV^2} $$
$$ \color{black}{全ての操作が終了した後のエネルギー量: \frac{1}{2} C_b V_N^2} $$
よって変化量を求めると、
$$ \color{black}{ \frac{1}{2} C_b V_N^2 – \frac{1}{2} CV^2 = \frac{1}{2} \left ( \frac{1}{b} CV^2 \cdot \frac{a^N}{b^{N-2}} – CV^2 \right ) = \frac{1}{2} CV^2 \left ( \frac{a^N}{b^{N-1}} – 1 \right ) } $$
$$ \color{black}{ \therefore \frac{2^N-1}{2} CV^2} $$
代入忘れ注意!!⚠️⚠️
[E] 操作(2)と操作(3)を繰り返し行ったとき②
(h) 電位と電流の最大値
[D]と同様に、(1)→(2)→(3)が最初の1回、(3)→(2)→(3)が𝑁-1回実施すると考えられる。以下の表のように文字を置いて、考えると漸化式を組み立てることができます!
| 𝑉𝑆 | 𝑄 | 𝐼 | 𝐸𝑆 | 𝐸𝐿 |
| (3)後 | 𝑉𝑁 | 𝐶𝑏𝑉𝑁 | 0 | 𝐶𝑏𝑉𝑁+12/2 | 0 |
| (2)前 | –𝑉𝑁 | –𝐶𝑏𝑉𝑁 | 0 | 𝐶𝑏𝑉𝑁2/2 | 0 |
| (2)後 | –𝑉𝑁’ | –𝐶𝑎𝑉𝑁’ | 0 | 𝐶𝑎𝑉𝑁’2/2 | 0 |
| (3)前 | 𝑉𝑁’ | 𝐶𝑎𝑉𝑁’ | 0 | 𝐶𝑎𝑉𝑁’2/2 | 0 |
| (3)後 | 𝑉𝑁+1 | 𝐶𝑏𝑉𝑁+1 | 0 | 𝐶𝑏𝑉𝑁+12/2 | 0 |
| (2)前 | 𝑉𝑁+1 | -𝐶𝑏𝑉𝑁+1 | 0 | 𝐶𝑏𝑉𝑁+12/2 | 0 |
1回目の部分をまとめると、
| 𝑉𝑆 | 𝑄 | 𝐼 | 𝐸𝑆 | 𝐸𝐿 |
| (2)前 | -𝑉 | –𝐶𝑉 | 0 | 𝐶𝑉2/2 | 0 |
| (2)後 | –𝑉0’ | –𝐶𝑎𝑉0’ | 0 | 𝐶𝑎𝑉0’2/2 | 0 |
| (3)前 | 𝑉0’ | 𝐶𝑎𝑉0’ | 0 | 𝐶𝑎𝑉0’2/2 | 0 |
| (3)後 | 𝑉1 | 𝐶𝑏𝑉1 | 0 | 𝐶𝑏𝑉12/2 | 0 |
| (2)前 | 𝑉1 | -𝐶𝑏𝑉1 | 0 | 𝐶𝑏𝑉12/2 | 0 |
[B]と同様に(2), (3)実施前後の電気量保存則より、
$$ \color{black}{-CV = -C_a V_0′} $$
$$ \color{black}{C_a V_0′ = C_b V_1} $$
$$ \color{black}{-C_b V_N = -C_a V_N’} $$
$$ \color{black}{-C_a V_N’ = -C_b V_{N+1}} $$
$$ \color{black}{CV = C_a V_0′ = C_b V_1 = \cdots = C_b V_N = C_a V_N’ = C_b V_{N+1}} $$
これらをまとめると、
$$ \color{black}{ V_N’ = aV, V_N = bV} $$
電気振動のエネルギー保存則より、
$$ \color{black}{ \frac{1}{2} C_b V_N^2 = \frac{1}{2} LI^2} $$
$$ \color{black}{ \therefore I = V \sqrt{ \frac{bC}{L} } } $$
(i) エネルギーの変化量
(h)でまとめた表から、静電エネルギーの差を求めましょう!
$$ \color{black}{ \frac{1}{2} C_b V_N^2 – \frac{1}{2} CV^2 = 0} $$
あとがき
いかがでしたでしょうか?少し数学的な部分があり、漸化式的な考え方が出てくるため、少し難しいかもしれません!解説では少し数学チックに解説しました。しかし、電気振動で電流が0の時に電気容量を変えると、電気量が保存しエネルギーが変化する。電気量が0の時に電気容量を変えると、電気量が変化しエネルギーが保存する。この2点に注意して考えると、より直感的に解けるかもしれません。コンデンサーとコイルを繋いだら電気振動になる基本問題は少ないですが、概念を理解して頑張りましょう!!