今回は東京科学大学(旧東工大)2025年度入試の物理第2問について、細かく解説していきます!問題は解説の都合上、部分的に掲載しておりますが、フルPDFが欲しい場合は大学のホームページや予備校のサイトから入手してください。

前提

[A] 導体円板が動かない場合

(a) 導体円板の上面に生じる電荷

導体円板が下の極板と接触している時は導体円板が無いのと同じく、円形極板によるコンデンサーと見て考える。

このときの電気容量𝐶₀とすると、

$$ \color{black}{C_0 = \epsilon _0 \frac{S}{d} } $$

よって、求める導体円板の上面に生じる電荷-𝑄₀は、

$$ \color{black}{-Q_0 = – C_0 V = – \frac{ \epsilon _0 SV}{d} } $$

(b) 平行板コンデンサーの静電エネルギー

コンデンサーにかかる電圧は直流電源と等しいため、静電エネルギー𝑈₀は

$$ \color{black}{U_0 = \frac{1}{2} C_0 V^2 = \frac{ \epsilon _0 SV^2}{2d} } $$

[B] 導体円板が動く場合

(c) 導体円板に生じる電荷

導体円盤が浮上する時、下の導体円板からの電荷の移動がなく、その中での電気量保存がすること。直列に繋がれた2つのコンデンサーが現れること。この2つが大きなポイントですね!

そして、問題文の「極板と導体円板の接触時における電荷の移動は速やかに起こるものとする」という記述から、

「導体円板を下の極板に接触させる」→「下の極板から導体円板に電荷が移動する」→浮上する」

の順で現象が起きると読み取れます。

下の極板に導体円板を接触させる時の下の極板の電気量は(a)より、

$$ \color{black}{- \frac{ \epsilon _0 SV}{d} } $$

導体円板と下の極板の距離が𝑦の時における導体円板の上側と下側のコンデンサーの電気容量をそれぞれ𝐶₁, 𝐶’₁とすると、

$$ \color{black}{C_1 = \epsilon _0 \frac{S}{d-y} } $$ $$ \color{black}{C’_1 = \epsilon _0 \frac{S}{y} } $$

導体円板の上側と下側のコンデンサーに蓄えられた電気量をそれぞれ𝑄₁, 𝑄’₁とし、導体円盤上の電気量保存則より、

$$ \color{black}{-Q_1 + Q’_1 = – \frac{ \epsilon _0 SV}{d} } $$

また、キルヒホッフの第2法則より、

$$ \color{black}{V = \frac{Q_1}{C_1} + \frac{Q’_1}{C’_1} } $$ $$ \color{black}{ \therefore -Q_1 = – \frac{ \epsilon _ 0 SV}{d^2} (d+y) , Q’_1 = \frac{ \epsilon _0 SV}{d^2} y} $$

(d) それぞれの平行板コンデンサーの静電エネルギー

求める全静電エネルギーは、導体円板の上側と下側のコンデンサーの静電エネルギーの和であるため、

$$ \color{black}{U_1 = \frac{1}{2} \frac{Q_1}{C_1} + \frac{1}{2} \frac{Q’_1}{C’_1} = \frac{ \epsilon _0 SV^2}{2d} \left \{ 1 + \frac{y}{d} – \left ( \frac{y}{d} \right ) ^2 \right \} } $$

(e) 導体円板の上昇速度

いよいよ、電磁気学に力学が融合された問題に入っていきます。この問題を乗り越えられれば、その先を解くことも簡単になっていくため、合否を分けると言っても過言では無いでしょう。

今回、導体円板の速度を考える上で、加速度と時間を用いた「等加速度運動の公式」を使うか、運動エネルギー用いた「力学的エネルギー保存則」を使うかを考えることができますが、今回は導体円板にかかる静電気力が一定でないため加速度が一定ではないです。そのため、「力学的エネルギー保存則」を用いで導出していくのが賢明でしょう!

導体円板にかかる力は重力と静電気力の2つで重力は鉛直下向き、静電気力は電荷が負かつ電場が鉛直下向きのため鉛直上向きおなってます。

この時、重力と静電気力は保存力であるため、力学的エネルギーは保存します。よって導体円板の上昇速度𝑣は、力学的エネルギー保存則より、

$$ \color{black}{ \frac{1}{2} m \cdot 0^2 + 0 + U_0 = \frac{1}{2} mv^2 + mgy + U_1} $$ $$ \color{black}{ \therefore v = \sqrt{ \frac{ \epsilon _0 SV^2}{md^2} y \left ( 1 + \frac{y}{d} \right ) – 2gy} } $$

(f) 電流計を流れる電流

電流とは単位時間あたりに通過する電気量であるため、電流計を流れる電流の値は𝑄₁の単位時間あたりの変化量を表す。

$$ \color{black}{I = \frac{dQ_1}{dt} = \frac{dQ_1}{dy} \cdot \frac{dy}{dt} } $$ $$ \color{black}{ \frac{dQ_1}{dy} = \frac{ \epsilon _0 SV}{d^2} } $$ $$ \color{black}{ \frac{dy}{dt} = v} $$ $$ \color{black}{I = \frac{dQ_1}{dt} = \frac{ \epsilon _0 SV}{d^2} \sqrt{ \frac{ \epsilon _0 SV^2}{md^2} y \left ( 1 + \frac{y}{d} \right ) – 2gy} } $$

(g) 上の極板に接触した後も含めた運動

最後に、導体円板が上の極板に接した後も含めた運動において、𝑦-𝑡グラフを考える。(e)の答えを積分して考えても良いが、ここでは究極の消去法で問題を解くやり方を紹介していきます!

𝑡=0のときの導体円板の速度が0であることに着目→③④⑤⑥⑪⑫⑬⑭⑯⑱⑲は×

完全非弾性衝突のため、𝑡=𝑡1のとき導体円板の速度は0になることに着目→③④⑦⑧⑪⑫⑬⑭は×

この時点で残るのは、①②⑨⑩⑮⑰

導体円板の上昇の間、導体円板と上の極板の引力がより大きくなるため、上昇速度も大きくなり続ける(接線の傾きが大きくなる=下に凸)ことに着目→⑨⑩⑪⑫⑬⑭⑯⑰⑱は×

最後に残るのは、①②⑮

導体円板が上の極板についた後、導体円板の電荷は正になり静電気力が下向きになる。静電気力と重力が両方同じ向きのため、上昇加速度よりも下降加速度の方が大きい。

また、導体円板の上に接した状態を維持することもない。

よって、𝑡1 > 𝑡2→②④⑥⑧⑩⑫⑭⑮⑯⑰⑱⑲は×

以上から、答えは①に絞れます。

あとがき

いかがでしたでしょうか?電磁気学は教科書からの応用が少ない分基本的な公式を使った問題が多くなっております。(キルヒホッフや電気量保存則など)東京科学大学の問題では電磁気学と別の分野を融合させることが多いため、少し問題が複雑に見えますが一つ一つ状況を整理してみると、簡単に問題を解いていくことができるため、いくつかケースを経験して慣れていくと高得点を狙えると思います!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA