今回は東京大学2025年度入試の物理第1問について、細かく解説していきます!問題は解説の都合上、部分的に掲載しておりますが、フルPDFが欲しい場合は大学のホームページや予備校のサイトから入手してください。

前提

[I] おもりAが固定されている時

(1) おもりBが床から離れるときの外力の大きさ

おもりBはおもりCと繋げられた棒に引っ張られ、床からの垂直抗力が0になったときに離れる。おもりBとおもりCそれぞれの力につり合いを考えましょう!

AB, AC, BCを繋ぐ棒がおもりに与える力をそれぞれ𝐹𝐴𝐵, 𝐹𝐴𝐶, 𝐹𝐵𝐶とし、Bの床からの垂直抗力を𝑁𝐵とすると力のつり合いより、

$$ \color{black}{F_{BC} \sin \frac{ \pi }{4} + N_B = mg} $$ $$ \color{black}{F_{BC} \cos \frac{ \pi }{4} = F_{AB}} $$ $$ \color{black}{F_{AC} = mg + F_{BC} \cos \frac{ \pi }{4} } $$ $$ \color{black}{F = F_{BC} \sin \frac{ \pi }{4} } $$

ここで、おもりBが床から離れるとき、

$$ \color{black}{N_B = 0} $$ $$ \color{black}{ \therefore F_{AB} = F = mg} $$ $$ \color{black}{F_{BC} = \sqrt{2} mg} $$ $$ \color{black}{F_{AC} = 2mg} $$

※解答としては𝐹求めるのに必要な部分だけでOKです!

【別解】剛体として力のモーメントを考えると、棒に働く力を無視できます!

3つのおもりと棒を1つの剛体として考えると、左の図のようになります。おもりAのまわりの力のモーメントのつり合いより、

$$ \color{black}{Fd + N_B d = mgd} $$

ここで、おもりBが床から離れるとき、

$$ \color{black}{N_B = 0} $$ $$ \color{black}{ \therefore F = mg} $$

(2) 物体Cが床に接するまでに外力がする仕事

おもりAとおもりBを繋ぐ棒と床のなす角を𝜃とし、床の位置を位置エネルギーの基準面として、エネルギーと仕事の関係から、

$$ \begin{align} \color{black}{mgd + W} & = \color{black}{mgd \sin \theta + mgd \sin \left ( \frac{ \pi }{2} – \theta \right )} \\ & \color{black}{= mgd( \sin \theta + \cos \theta )} \\ & \color{black}{= \sqrt{2} mgd \sin \left ( \theta + \frac{ \pi }{4} \right )} \end{align} $$
$$ \color{black}{ \therefore W = mgd \left ( \sqrt{2} \sin \left ( \theta + \frac{ \pi }{4} \right ) – 1 \right )} $$

𝑊が最大値となるとき、

$$ \color{black}{ \theta = \frac{ \pi }{4} } $$

であり、𝑊がこの値を超えれば、おもりCは床に到達します。

$$ \color{black}{ \therefore W_0 = mgd ( \sqrt{2} – 1)} $$

直感的には、おもりBの床からの高さがおもりCを越えれば、力を加えなくてもおもりCが床に衝突するため、必要な外力による仕事はそこに到達するまでのもの!

[II] おもりAを固定せずに滑り出すまで

(1)/(2) 静止中のおもりB, おもりAの垂直抗力

I(1)と同様に、各おもりの力のつり合いを考える。おもりAの床からの垂直抗力は𝑁𝐴, おもりAの静止摩擦力を𝑓とすると、

$$ \color{black}{N_A = mg +F_{AC}} $$ $$ \color{black}{F_{AB} = f} $$
$$ \color{black}{F_{BC} \sin \frac{ \pi }{4} + N_B = mg} $$ $$ \color{black}{F_{BC} \cos \frac{ \pi }{4} = F_{AB}} $$ $$ \color{black}{F_{AC} = mg + F_{BC} \cos \frac{ \pi }{4} } $$ $$ \color{black}{F = F_{BC} \sin \frac{ \pi }{4} } $$
$$ \color{black}{ \therefore F_{AB} = F} $$ $$ \color{black}{F_{AC} = mg + F} $$ $$ \color{black}{F_{BC} = \sqrt{2} F} $$ $$ \color{black}{N_B = mg – F} $$ $$ \color{black}{N_A = 2mg + F} $$ $$ \color{black}{f = F} $$

※解答としては𝑁𝐵, 𝑁𝐴求めるのに必要な部分だけでOKです!

【別解】またまた、剛体として力のモーメントを考えると、棒に働く力を無視できます!

3つのおもりと棒を1つの剛体として考えると、左の図のようになります。剛体の力のつり合いとおもりAのまわりの力のモーメントのつり合いより、

$$ \color{black}{N_A + N_B = mg + mg + mg} $$ $$ \color{black}{F = f} $$ $$ \color{black}{Fd + N_Bd = mgd} $$
$$ \color{black}{ \therefore N_B = mg – F} $$ $$ \color{black}{N_A = 2mg + F} $$ $$ \color{black}{f = F} $$

(3) おもりが滑り出すときの外力の大きさ

おもりBが床に接したまま動く=この物体系が回転せずに滑る!!滑る直前は静止摩擦力が最大摩擦力であるため、

$$ \color{black}{f = \mu N_A} $$

よって、

$$ \color{black}{f = F = \mu (2mg + F)} $$ $$ \color{black}{ \therefore F = \frac{2 \mu}{1 – \mu } mg} $$

[III] おもりAを固定せずに滑り出したあと

(1) 等速直線運動するための外力の大きさ

等速直線運動をしているとき、力はつり合っているため、II(1)/(2)と同じ式で考えることができます!ただし、おもりAにはたらく摩擦力は静止摩擦力𝑓ではなく、動摩擦力𝑓’となります。

$$ \color{black}{f’ = \mu’ N_A} $$

これをII(1)/(2)の式に当てはめると、

$$ \color{black}{F = f’ = \mu ‘ N_A} $$ $$ \color{black}{ \therefore F = \frac{2 \mu ‘}{1 – \mu ‘} mg} $$

(2) 外力を加えるのをやめたときのおもりAの垂直抗力

II(1)/(2)と同様に、3つのおもりのおける運動方程式や力のつり合いを立てましょう!

$$ \color{black}{N_A = mg +F_{AC}} $$ $$ \color{black}{ma = f’ – F_{AB}} $$ $$ \color{black}{F_{BC} \sin \frac{ \pi }{4} + N_B = mg} $$ $$ \color{black}{ma = F_{AB} – F_{BC} \cos \frac{ \pi }{4}} $$ $$ \color{black}{F_{AC} = mg + F_{BC} \cos \frac{ \pi }{4} } $$ $$ \color{black}{ma = F_{BC} \sin \frac{ \pi }{4} } $$

これを解くと、

$$ \color{black}{ \therefore f’ = 3ma} $$ $$ \color{black}{F_{AB} = 2ma} $$ $$ \color{black}{F_{AC} = m(g + a)} $$ $$ \color{black}{F_{BC} = \sqrt{2} ma} $$ $$ \color{black}{N_B = m(g – a)} $$ $$ \color{black}{N_A = m(2g + a)} $$

※解答としては𝑁𝐵求めるのに必要な部分だけでOKです!

【別解】またまたまた、剛体として力のモーメントを考えると、棒に働く力を無視できます!

3つのおもりと棒を1つの剛体として考えると、左の図のようになります。剛体の運動方程式、力のつり合いより、

$$ \color{black}{N_A + N_B = mg + mg + mg} $$ $$ \color{black}{3ma = f’} $$

おもりAのまわりの力のモーメントのつり合いを考えます。この時、おもりAは左向きの加速度で減速しているため、おもりAから見た体系で考えます。

$$ \color{black}{mad + N_Bd = mgd} $$ $$ \color{black}{ \therefore N_B = m(g – a)} $$ $$ \color{black}{N_A = m(2g + a)} $$

(3) 外力を加えるのをやめたときの減速加速度

減速中でも、おもりAには動摩擦力が働くため、

$$ \color{black}{f’ = \mu ‘ N_A} $$

これをIII(2)の式に当てはめると、

$$ \color{black}{f’ = 3ma = \mu’ \{ m (2g + a) \} } $$ $$ \color{black}{ \therefore a = \frac{2 \mu ‘}{3 – \mu ‘} g} $$

あとがき

いかがでしたでしょうか?東京大学の問題では、今回の別解のように1つか2つの式を立てられれば答えを出せるものの、立式までの発想が少し難しい傾向です。しかし、実は泥臭く式を複数連立させれば答えに辿り着くこともあります!解答用紙に書くときは、整理して必要な部分だけ書くようにしましょう。時間はかかりますが、立式に躓いて答えに導けないよりはいいですね!

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